AIの業務改善事例5選を活用するポイントとともに徹底解説
現代のビジネス環境において、AI(人工知能)は業務改善の切り札といっても過言ではありません。実際に大企業から中小企業まで、多くの企業がAIを導入して生産性向上やコスト削減に成功しています。
この記事では、そんなAIの業務改善事例をAIツール導入で効果を引き出すためのポイントとともに紹介します。
なぜ今AIが業務改善の鍵となるのか
昨今、業界を問わず人手不足や働き方改革が大きな課題となっている中、少ない人員で高い成果を求められる中、AIはその解決策として注目されています。とくに2020年代に入り、ディープラーニングの進化や大規模言語モデル(Generative AI)の登場により、AIの実用性が飛躍的に高まりました。かつては専門家にしか扱えなかった分析や判断も、AIが自動で高速かつ高精度に行えるようになっています。
さらに、チャットボットや画像認識といった分野でもAIは成熟し、現場への適用がしやすくなりました。
AIが改善できる代表的な業務
AIが特に効果を発揮しやすい業務プロセスには、いくつかのパターンがあります。
ここでは代表的なものを4つ紹介します。
AIが改善できる代表的な業務
- 文書作成
- データ分析
- 問い合わせ対応
- 在庫管理
自社の課題に合いそうなものから、ぜひ検討してみてください。
文書作成
企画書・報告書の作成や会議の議事録作成など、文章を書く作業は意外に工数がかかります。AIの文章生成技術を使えば、キーワードや要点を入力するだけで下書き文章を自動作成できます。
また、長文資料から重要ポイントを抜き出して要約するといったことも得意です。例えば会議後にAIが即座に議事録をまとめてくれれば、社員は内容確認と修正に専念でき、大幅な時間短縮につながります。
データ分析
売上や顧客情報など、ビジネス上のデータ分析もAIが得意とする分野です。これまでは専門部署や分析担当者が時間をかけて行っていたデータ分析も、AIであれば短時間で膨大なデータから傾向を掴みます。例えば過去の販売実績やトレンドデータをAIに学習させれば、需要予測や売上予測を高い精度で実現可能です。
また、不良品の発生傾向や設備の故障予兆などもAI分析で把握でき、品質管理や設備保全の面でも効果を発揮します。
問い合わせ対応
問い合わせ対応やカスタマーサポートの領域でもAIは活躍しています。チャットボットを導入すれば、よくある質問に24時間自動対応でき、オペレーターの負担を軽減可能です。
AIが過去の問い合わせデータやFAQを学習し、適切な回答を瞬時に提示するため、問い合わせ対応にかかる工数を大幅削減できます。社内向けにも、総務・人事への定型的な問い合わせにAIチャットボットで答える例が増えているなど、活躍の幅が広がっていることも見逃せないポイントです。
在庫管理
AIを活用することで、需要予測に基づいた発注や、生産計画の自動化が可能です。例えば売上データと季節要因をAIが分析して、各商品の適正在庫量を算出し提案してくれます。適正在庫量の提案は、品切れや過剰在庫を防ぎ、在庫回転率の改善や廃棄ロス削減が期待できます。
また、倉庫内の管理でも、AI画像認識による自動棚卸やロボットとの連携で庫内作業の効率化にも役立てることが可能です。
AIの業務改善事例5選
ここからは、日本の企業5社におけるAI導入の業務改善事例を紹介します。

自社でAI活用を検討する際のヒントになるポイントも併せて紹介しているので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
株式会社三菱UFJ銀行
日本最大級の金融機関である株式会社三菱UFJ銀行は、社内文書作成への生成AI導入で効率化を実現しています。
銀行では稟議書(承認申請書)や報告書など多くの文書を作成しますが、厳格なフォーマットや多段階のチェックが必要なため担当者の負担が大きい状況でした。そこで過去の稟議書データや社内規定をAIに学習させ、AIがまず文書ドラフト(下書き)を自動生成するシステムを導入しました。
その結果、社内文書作成にかかる時間が飛躍的に短縮され、業務時間削減につながったと報告されています。
参考記事:「相棒」としての生成AI 導入で変化する 三菱UFJ 銀行 広がる活用領域と可能性 - KPMGジャパン
セブンイレブン
コンビニエンスストア最大手のセブンイレブンは、商品企画業務へのAI活用で開発スピードを高めています。
もともとセブンイレブンでは新商品の企画から店頭に並ぶまで1ヶ月以上かかることがあり、市場ニーズへの迅速な対応が課題でした。そこで売上データ・顧客購買データに加え、SNS上のトレンド情報や口コミなど膨大なデータをAIに分析させ、消費者ニーズを精緻に予測する仕組みを導入しました。
その結果、ヒットしそうな商品のアイデアを逃さずキャッチし、新商品企画サイクルを従来の10分の1(数日程度)に短縮することに成功しています。また、データに裏付けられた企画はヒット率が高く、新商品の売上向上やロス削減にも寄与しています。
参考記事:セブンイレブン、商品企画の期間10分の1に 生成AI活用 - 日本経済新聞
パナソニックコネクト株式会社
パナソニックコネクト株式会社は、パナソニックグループのB2Bソリューション企業として全社員へのAI活用を推進しています。
2023年に社内向け生成AIアシスタント「ConnectAI」を導入し、メール作成からプログラミング支援まで幅広い業務で社員をサポートする仕組みを整えました。約1万1,600人の全社員が日常業務でAIを使える環境を整備した結果、2024年には年間で約44.8万時間の業務時間削減を達成しています。
パナソニックコネクトの事例は、大企業が社内DXの一環で生成AIを全社導入し、多大な時間削減と業務高度化を実現したケースとして注目されています。
参考記事:パナソニックコネクト、「聞く」から「頼む」へシフトしたAI活用で年間44.8万時間の削減を達成 | 技術・研究開発 | 技術・研究開発 | プレスリリース | Panasonic Newsroom Japan : パナソニック ニュースルーム ジャパン
旭鉄工株式会社
愛知県の中堅自動車部品メーカーである旭鉄工株式会社は、製造現場のカイゼン(改善)活動にAIを取り入れユニークな成果を上げています。
同社はトヨタ流の改善手法を徹底してきましたが、熟練者の勘と経験に頼る部分が多く、ノウハウの属人化が課題でした。これを打破するため、自社の蓄積した膨大な改善事例や生産データをAIに学習させ、現場の「AI製造部長」として機能するシステムを開発しました。
この取り組みにより、従来はベテラン社員でなければ気付けなかった問題発見が平準化され、改善スピードが飛躍的に向上しました。さらに、IoTによる生産ライン監視と組み合わせて年間4億円規模のコスト削減や電力消費26%削減といった成果も実現しています。
参考記事:製造業での活用〜カイゼンノウハウは生成AIに聞け!〜
GMOインターネット株式会社
インターネットサービス大手のGMOインターネット株式会社は、全社員のAI活用を推進する先進企業として知られています。
グループ会社を横断して生成AIツールの導入・教育を進めた結果、2024年上期(1〜6月)だけで約67万時間もの業務時間削減を達成したと発表されています。GMOでは社員の83.9%が日常業務でAIを活用しているという社内調査結果も出ており、事実上「ほぼ全社員がAIユーザー」という体制を築いています。
実際にどんな場面でAIが使われているかというと、プログラミングの自動化支援はもちろん、企画書やメールの文章作成、会議資料の要約、データ集計など多岐にわたります。非エンジニアの社員でも、自然言語で指示するだけでコードを書いてもらう「バイブ・コーディング」という手法で、簡単な業務アプリや自動化スクリプトをAIに作成させています。
社内調査では非エンジニア社員の約5割がこの方法でプログラミング的な作業を経験したとされ、専門部署に頼らず各自が業務効率化ツールを作れる文化が醸成されています。
参考記事:GMOインターネットグループ、 生成AI活用により2024年上半期で約67万時間の業務時間を削減 | GMOインターネットグループ株式会社
AIツールの業務改善効果を引き出す3つのポイント
AI導入の成功事例から学べるように、効果を最大化するには単にツールを入れるだけでなく導入の工夫が重要です。
ここでは、中小企業の経営者の方にも参考になる、AIツール活用のポイントを3つ紹介します。
AIツールの業務改善効果を引き出すポイント
- 既存ツールとの連携を意識する
- 事前に課題の洗い出しをする
- 外部の専門家を活用する
AIツールの費用対効果を高めるためにも、ぜひ実践してみてはいかがでしょうか。
既存ツールとの連携を意識する
AIを導入する際は、今使っている業務システムやツールとの連携をしっかり設計することが大切です。
既存ツールと断絶した独立AIだと、データを移し替える手間が発生し、せっかくの効率化メリットが削がれてしまいます。自社の基幹システムやデータベースとスムーズに繋がるAIを選定・開発し、一連の業務フローの中に違和感なくAI機能が組み込まれるようにしましょう。
事前に課題の洗い出しをする
「何となく最新技術だから導入」という姿勢では、具体的な効果を出すのは難しいでしょう。そのため、AI導入に飛びつく前に、自社の業務課題を整理することが不可欠です。
業務改善効果を引き出すためにも、現場のヒアリングや業務フローの整理をし、どの業務に一番時間がかかっているか、どこにボトルネックがあるかを明確にしましょう。課題が見えれば、「在庫計画に需要予測AIを当てよう」「チャットボットで回答の自動化しよう」と具体策が立てやすくなります。
小さな成功を積み重ねるためにも、まずは効果が測りやすく、改善余地の大きい業務からAI活用を試してみるのがおすすめです。
外部の専門家を活用する
AIの導入や運用に不安がある場合、外部の専門家やサービスを上手に活用することも検討しましょう。中小企業では社内にAIの専門知識を持つ人材がいないことも多いですが、その場合はAIソリューション提供企業やコンサルタントに相談する手があります。
また、補助金や助成金の情報もチェックしてみましょう。AIやDX推進に関する公的支援制度が各種ありますので、専門家はそうした資金面のアドバイスもしてくれます。AIを自社内に抱え込まず、信頼できるパートナーと協力して進めることが、中小企業がリスクを抑えて成果を出すポイントです。
まとめ
中小企業の経営者にとって、自社にAIを導入できるのか不安もあるでしょう。重要なのは、スモールスタートでも構わないので自社の抱える問題解決にフォーカスしてAIを使ってみることです。例えば「在庫予測を一部AIに任せてみる」「問い合わせ対応に簡易チャットボットを導入してみる」といった小規模な取り組みから始め、そこで得られた時間の余裕や成功体験を次の改善に繋げていきましょう。
AIは決して人の仕事を全て奪う魔法ではありませんが、使い方次第で人を助け、人の能力を引き出す強力なパートナーになり得ます。競合他社との差別化を図り、持続的な成長を遂げるためにも、ぜひこの記事の内容をヒントにAI活用を前向きに検討してみてください。


